レタッチについて私の思うことを書きます。あくまでも、具体的に誰の写真がどうこうということではなく、個人的にただ思うことを。
デジタル写真のレタッチ。レタッチとは現像ソフトや画像処理ソフトなどを使ってコントラストを変えたり、彩度を変えたり、時には色をかえたり、あるいは写真にないものを加えたり、写真から邪魔なものを削除したり、極端に写真を加工することもいいますね。あるサイトではレタッチとは「写真を美しくプリントするためにする画像処理」とあります。コントラスト、ホワイトバランス、シャープネス、彩度の変更はレタッチというようです。
風景写真を撮るときは、少し昔はベルビア50とか、ハイコントラストで彩度の高いフィルムを使ってました。現像してポジをみてすごいきれいに写るんですよね。めりはりのある写真が好きな人にとっては手放せないフィルムでした。もちろん私もそうです。
時代はフィルムからデジタルへ。今や、デジタルで撮れば画像処理でなんでもできちゃう。それがいいところでもあり悪いところでもあり。要するに、フィルムやプリント時にラボにまかせてた作業を撮影者自身がやらなくてはならなくなった。もちろん、撮影者自身がイメージにそって写真を最後までつくることができるようになったという点では大歓迎でしょう。
私も少し前は、少なくとも去年の冬くらいまでは、撮影画像を現像ソフトでコントラストを高くして、彩度を高めて鮮やかにしてました。それでプリントして喜んでました。鳥の写真も撮って、ハイコントラストに鮮やかにプリントして、いい出来だな、と思ってました。
ところが、鳥写真の専門家にちょっと見ていただいたところ、「これは本当の色じゃないね。見た色じゃないね」と。自分は「いい」と思ってたけど、専門家の目から見ると「画像処理のしすぎで見れたもんじゃない」と。今の自分から見て、これはやりすぎだなと思う写真はこんなものです:
<画像:CBEC7815c.JPG>
緑があり得ない色をしてます!
<画像:CBEC7866c.JPG>
いかにも不自然な赤です。
<画像:CBEC7289c.JPG>
レタッチしすぎの青さですね。確かにこの日の青はきれいでしたが、現像ソフトでいじってたらこんな色になって感動したのですが、この光景を見て感動したときの色からは……
<画像:OF1N2053c.JPG>
この写真はまともにレタッチできてると思います。写真としては…ですが。
私はフィルムでも撮ってたので、この風景をフィルムで撮るとこう写る、という想像はできるし、同じ場所をフィルムでもデジタルでも撮るので、その写りの違いも多少はわかる。私のデジタルが古いのかもしれないけど、プリントした感じは、基本的にフィルムのほうがいい。特に、海の中の写真はそう感じます。でもデジタルで撮るのはその画像処理の可能性にかけているからです。そうはうまくいきませんが(笑)
鳥写真の専門家からのその一言にハッとして、今までのイルカ写真を見直してみた。コントラスト強すぎ、彩度あげすぎの写真の数々。一見、はっとするけど、見飽きてしまう。それよりは、はっとはしないけど、ずっと飾っておきたい写真のほうがいいと思う。そのためには、撮影のときにしっかりとした露出、構図、ピントで撮らなくては。ということで、最近はコントラストあげすぎにならないよう、注意していたところでした。だから、ちょっとでもコントラストあげぎみの写真を見ると、気づいてしまうんです。
最近写真展に足を運ぶ機会が多いのですが、いかにもデジタルっぽい写真が目につきます。シャープをかけすぎて輪郭が不自然だったり、彩度が高かったり。自分自身やってる作業ですから気持ちは十分にわかりますが。撮影者がそれでいいんだということであればそれでいいと思いますが。最近の写真雑誌のコンテストを見ても、選者のコメントに「レタッチしすぎの写真が目立つ」とあります。逆に本当にすばらしくきれいなデジタル写真のプリントも存在するわけで。
レタッチをしてあえて不自然にするイメージならそれでいいと思います、でもそれには不自然にする理由がないと。例えばAnpanさんという人の写真はレタッチもありますが、非常にきれいです、写真を見てすっと入ってくる。素直に感動してしまう。そんなレタッチなら大歓迎ですね。
ずっと飾っておきたい、飽きない写真…そんな写真を目指して、デジタル撮影&現像する日々です。